歯の欠損が及ぼす影響とは?


最近これまで歯の治療を後回しにされていた方が、歯科医院を受診されるケースが増えてきたように感じます。

特に「歯の欠損(歯が抜けたままの状態)」は、すぐに痛みが出るわけではないため、つい放置されがちです。「痛むようになったら行こう」と考えているうちに、歯科医院から足が遠のき治療が遅れてしまった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

歯が抜けたままは危険? 放置が招く口と体への悪影響

「たった1本だから大丈夫」と、歯が抜けたままの状態を放置してしまっていませんか?

その一つの欠損がまるでお口の中のドミノ倒しの始まりとなり、周囲の歯や体全体の健康にまで悪影響を及ぼす「負の連鎖」につながることがあります。

これから歯科医院へ行こうと考えている方へ、なぜ早く治療した方が良いのか、歯の欠損を放置した場合の悪影響を整理してご紹介します。

歯の欠損を放置すると起こる、お口の主なトラブル

歯が1本なくなることで、お口の中のバランスが崩れ、主に次のようなトラブルが連鎖的に発生します。

・隣在歯(りんざいし)の傾斜

・対合歯(たいごうし)の挺出(ていしゅつ)

・虫歯や歯周病の悪化

・咬合(こうごう)バランスの乱れ(あごの偏り、顎関節症)

・全身の歪み(肩こり、首凝りなど)

・咀嚼(そしゃく)効率や嚥下(えんげ)機能の低下

1.隣在歯の傾斜

歯は両隣の歯とお互いに支え合うことで、きれいな歯並びを保っています。しかし歯を失ったままにすると、支えを失った両隣の歯が歯が抜けたスペースに向かって徐々に倒れ込んできます。

その結果倒れた歯とさらにその隣の歯との間に隙間ができて、食べ物が挟まりやすくなることも。ひどい場合には45度以上も傾いてしまうケースもあります。

【(フリーペーパー)メディサポ2023年秋号より】

2.対合歯の挺出

上下の歯は噛み合う相手の歯があることで適切な位置に留まっています。食事の時だけでなく、発音したり唾を飲み込んだりする時にも上下の歯は接触しています。

ところが噛み合う歯がなくなってしまうと、対抗する力がなくなるためその歯が空いたスペースに向かってどんどん伸び出してきてしまいます(挺出)。ひどくなると反対側の歯ぐきにぶつかるまで伸びてしまうこともあります。

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3.かみ合わせのバランスが崩れる

歯が抜けた部分では食べ物をうまく噛み切ったりすりつぶしたりできません。そのため無意識に抜けていない側ばかりで噛むようになり、顎に偏った負担がかかり続けます。結果として、負担の大きい側の歯を支える骨や歯ぐきに歯周炎が進行したり、歯が割れてしまったりすることもあります。

また噛み合わせのバランスが崩れると、しっかり噛む必要のない柔らかいものばかり選んで食べるようになりがちです。柔らかい食事は糖質・炭水化物に偏りやすく、こうした食生活が生活習慣病の遠因となる可能性も指摘されています。

治療が遅れるほど、体にも影響が広がる

早く治療すれば、早く治る

歯の欠損の放置は治療を複雑にする最大の原因です。

本来なら抜けた部分を補う治療だけで済んだはずが、放置したことで傾いた歯や伸びた歯の処置なども必要になり、治療期間・通院日数ともに3倍以上になることも。1ヶ月で終わるはずだった治療が1年以上かかってしまうケースも珍しくありません。

治療が複雑になることで患者様ご自身の負担も増え、途中で治療を中断してしまうと、次に問題が起きた時にはさらに大掛かりな治療が必要になる、という悪循環に陥ってしまいます。

「1本くらいなくても支障がない」と安易に考えず早めに治療を開始し、完了まできちんと通院することが、将来的に多くの歯を守りお口の健康を保つことにつながるのです。

影響は全身へ。治療はさらに困難に

先に挙げた「歯が傾く」「歯が伸びる」「バランスが崩れる」といった現象が複合的に起こることで、影響はお口の中だけにとどまりません。

・噛む効率の低下 → 消化器官への負担

・噛む効率の低下 → 嚥下機能の低下 → 誤嚥(ごえん)性肺炎のリスク

・かみ合わせの偏り → 頭の偏り → 頭痛、肩こり、首凝り

このような状態になってから治療を始めようとすると、さらに多くの問題に直面します。

治療が遅れると、こんな問題が…

1.伸びたり傾いたりした歯が邪魔をする

いざ歯を補おうとしても、伸びたり傾いたりした歯がスペースを塞いでしまい、そのままでは補綴物(被せ物や入れ歯など)が入れることができない場合があります。

2.残っている歯を失うリスクが高まる

偏ったかみ合わせで過度な負担がかかった歯が割れてしまい、抜歯せざるを得なくなることがあります。

3.健康な歯を削る必要が出てくる

ずれてしまったかみ合わせを正常に戻すために、問題のない健康な歯を削らなければならない場合があります。

4.歯の神経を抜く(抜髄)必要が出てくる

伸びたり傾いたりした歯を正しい位置に戻すために、大幅に歯を削る必要があり、結果として歯の神経を抜かなければならないことがあります。

5.歯科矯正が必要になる

歯の神経を残して傾いた歯を元の位置に戻したい場合は、部分的な歯科矯正が必要になることがあります。

予防のための歯科受診が大切なことは多くの方に知られるようになりました。それと同様に、失った歯をきちんと治療して機能を回復させることも未来のお口の健康を守るための大切な「予防」の一つである、ということを知っておくことが重要です。

三重県津市でお口のお悩み・入れ歯相談なら田中歯科

「お口の健康は、心と体の調律へとつながる。」と田中歯科は考えております。皆さまの健康を根本から支える歯科医療を提供し、お口の健康を整えることが、心の調律にもつながる。
このように「病は気からを科学する」それが私たちのミッションです。


医院名

田中歯科

院長

田中伸子

所属学会・資格情報

・日本抗加齢医学会(JAAM) 専門医 
・日本アンチエイジング歯科学会(JSDA) 認定医
・JSDA ペリオフードコーディネーター
・JSDA サプリメントアドバイザー
・JSDA ビューティーアドバイザー
・日本歯周病学会 正会員

住所

三重県津市大門15-16

アクセス

バス:津駅前より京口立町で下車し徒歩7分 お車:津駅より車で約5分(専用駐車場あり)

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059-228-6444