歯医者さんが教える!お口と腸を整えて免疫力アップ


お口と腸の細菌があなたの体を作る!

「歯医者さんがなぜ腸の話をするの?」と不思議に思われた方もいるかもしれません。実は、最近の研究でお口の中の細菌(口内フローラ)と腸の細菌(腸内フローラ)が意外なほど密接に関わっていることがわかってきました。

人気YouTuberでもある消化器外科医の石黒成治医師も、その著書「食べても太らず免疫力がつく食事法」の中で、「腸内環境の改善はまず口から」とハッキリおっしゃっています。

「腸の始まりは口です。腸、すなわち消化器官は口から肛門までのすべてを指します。そのため腸内環境を考えるとき口内環境を無視することはできません」

—「食べても太らず免疫力がつく食事法」著:石黒成治

そこで今回は、お口と腸の細菌のつながりに関する研究結果をいくつかご紹介します。これをきっかけに、毎日の歯磨きや、歯医者さんでの定期健診・クリーニングの大切さを改めて意識していただけたら嬉しいです。

口内フローラと腸内フローラって何?

【(フリーペーパー)メディサポ2021年夏号より】

「フローラ」という言葉は、細菌の集まりを顕微鏡で見たときに、まるで色とりどりのお花畑のように見えることから名付けられました。最近ではよく耳にするようになりましたね。

このフローラは、大きく分けて3種類の菌で成り立っています。それが、私たちの健康に良い働きをする**「善玉菌」、悪い働きをする「悪玉菌」、そして状況によって善玉菌にも悪玉菌にも味方する「日和見菌」**です。

これらの菌の割合は人それぞれですが、最も多くを占めるのは日和見菌です。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のどちらが優勢かによって味方を変えるので、できるだけ善玉菌が優勢な状態を保つことが大切なんです。

お口の菌が悪玉菌優勢になったらどうなるの?

【(フリーペーパー)メディサポ2021年夏号より】

もしお口の中の菌が、悪玉菌が優勢な状態になると、歯周病の原因菌の中でも特に悪い働きをする**「ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g菌)」**などが増えてしまいます。これらの菌は、食事と一緒に大量に消化管へ流れ込んでしまいます。

ほとんどの菌は胃酸でやっつけられますが、一部のP.g菌は生き残って腸に到達し、腸内フローラのバランスを崩してしまうことがわかってきました。その結果、腸のバリア機能が低下し、細菌から作られる毒素が血液中に増えてしまうんです。

これにより、免疫力が低下して全身に炎症を起こしやすくなり、感染症にかかりやすくなります。さらに歯周病菌も増えやすくなり、お口の中の環境も悪化するという、まさに負の連鎖に陥ってしまいます。

また、腸内フローラの乱れに乗じて、お口の中にいる「クレブシエラ菌」が腸に定着し、免疫細胞の一種である「TH1細胞」を過剰に活性化させ、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の発症に関わる可能性も報告されています。

一方で、お口の中の善玉菌が、逆に腸内フローラを整える可能性も報告されています。

<歯周病の特に悪い3大菌>

・P.g菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)

・T.d菌(トレポネーマ・デンティコーラ)

・T.f菌(タネレラ・フォーサイシア)

今後さらなる研究によって、お口と腸の細菌の関係がさらに明らかになることが期待されますね。

前回は腸内環境を良くするための食べ物に注目しましたが、「どんな口の状態で食べるか」もとても大切だということがわかっていただけたでしょうか。

消化器官の始まりであるお口を清潔に保ち、悪玉菌の温床となる歯垢(プラーク)を取り除き、お口の中を善玉菌が優勢な状態にすることが、全身の健康に良い効果をもたらすということを、ぜひ改めて意識してみてください。

6月は虫歯予防デーの月でもあります。コロナ禍で歯の健康に関するイベントが中止や縮小になり、歯について考える機会が減っているかもしれませんが、この記事を読んでくださったことが、ご自身のお口と腸の健康を見直すきっかけになれば幸いです。

新しいお口のケア「バクテリアセラピー」

【(フリーペーパー)メディサポ2021年夏号より】

最近では(10年ほど前から広まっていますが)、**「バクテリアセラピー」**という新しいお口のケア方法があります。

これは、母乳にも含まれる**乳酸菌「ロイテリ菌」**を利用する方法です。ロイテリ菌は、お口の中の善玉菌として歯周病菌や虫歯菌の活動を抑える働きがあります。このロイテリ菌をトローチなどのサプリメントとして摂取することで、お口の中の善玉菌を増やし、良い状態を保つセルフケアです。この方法を取り入れている歯医者さんも増えています。

このロイテリ菌は、他の多くの乳酸菌とは違い、胃酸で殺菌されることなく生きたまま腸に届くので、腸内フローラの改善にも役立ちます。その結果、便通の改善、免疫力のアップ、アレルギー疾患の改善効果などが報告されています。

ご自身の健康のために、まずは今日からお口のケアを見直してみませんか?

三重県津市でお口のお悩み・入れ歯相談なら田中歯科

「お口の健康は、心と体の調律へとつながる。」と田中歯科は考えております。皆さまの健康を根本から支える歯科医療を提供し、お口の健康を整えることが、心の調律にもつながる。
このように「病は気からを科学する」それが私たちのミッションです。


医院名

田中歯科

院長

田中伸子

所属学会・資格情報

・日本抗加齢医学会(JAAM) 専門医 
・日本アンチエイジング歯科学会(JSDA) 認定医
・JSDA ペリオフードコーディネーター
・JSDA サプリメントアドバイザー
・JSDA ビューティーアドバイザー
・日本歯周病学会 正会員

住所

三重県津市大門15-16

アクセス

バス:津駅前より京口立町で下車し徒歩7分 お車:津駅より車で約5分(専用駐車場あり)

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