歯科からはじめる認知症予防

お口の健康が、脳の健康を守る?歯周病と認知症の意外な関係
「認知症」と聞くと、ご自身やご家族の将来を心配される方も多いのではないでしょうか。実はその大切な脳の健康が、お口の中の状態と深く関わっていることが、最近の研究で明らかになってきました。
認知症の中でも約7割を占めるアルツハイマー型認知症。この発症を抑えるために、歯周病の治療と定期的な予防メンテナンスがとても有効だということが、数々の研究で分かってきたのです。 (2018年より国立循環器病研究センターをはじめとする他施設共同研究「う蝕、歯周病と脳卒中、認知症との関連の検証」、九州大学口腔機能分子科学分野OBT研究センターなどの研究)
これは最先端の研究機関だけの話ではありません。一般社団法人認知症協会の理事である山根一彦医学博士の著書『認知症にならない最高の習慣』の中でも、「認知症を引き寄せる3つの習慣」の筆頭に「歯の手入れをしない」ことが挙げられています。お口のケアを怠ることが、認知症を招く習慣の一つとして、指摘されているのです。
でもどうしてお口の病気である歯周病が、脳の病気である認知症と関係があるのでしょうか?その謎を解く鍵は、ある特定の「菌」が握っていました。
認知症リスクを高める、恐るべき歯周病菌の正体とは?
歯周病は、お口の中にいる「歯周病菌」が原因で起こる感染症といえます。その歯周病菌の中で最も驚異であるのがPg菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス菌)です。

【(フリーペーパー)メディサポ2022年秋号より】
このPg菌は、他の歯周病菌にはない特徴があります。それはお口の細胞の中に巧みに忍び込み、そこから血管の壁をすり抜け全身の血流に乗ってしまう性質があるということです。血液中の「鉄分」を好む性質があるため、血流に乗り全身に悪影響及ぼす可能性があるのです。

そしてこのPg菌が、アルツハイマー型認知症の引き金になると考えられている老人斑アミロイドβを増加させてしまうのです。
アルツハイマー型認知症のリスクに!?
Pg菌のアミロイドβ産生増加のメカニズム
- 歯肉で炎症を起こして粘膜を破壊し、歯肉の炎症部位で免疫細胞の過剰反応により、アミロイドβを産生させる
- アミロイドβとともに血流に乗って、脳の血液脳関門に到達
- アミロイドβを脳内に取り込む受容体を増やし、脳内にアミロイドβを誘導する

このようにして、アルツハイマー型認知症のリスクに関与しているということが分かっています。また、マウスの実験では中年マウスにPg菌を三週間連続投与した結果、脳のアミロイドβが10倍に増えたとの報告もあります。(Zeng et al Journal of Neuro-chemistry 2020)

歯周病の温床は外から見えないところに
恐ろしいPg菌はどこに潜んでいるのでしょうか?
その主な住処は、ご自身の歯ブラシでは決して届かない「歯周ポケット」の奥深くです。
毎日丁寧に歯を磨いている方でも、このポケットの奥にこびりついたデンタルプラークや歯石までは取り除けません。だからこそ歯科医院での定期的なチェックと、歯科医師や歯科衛生士によるプロフェッショナルケアが絶対に必要になるのです。
「まだ自分の歯がたくさん残っているから大丈夫」と思われるかもしれません。しかし、たとえ歯が揃っていても、歯周病にかかっていれば、認知症のリスクは高まってしまうのです。
気づかないうちにご自身の歯周病が静かに進行しているケースは、残念ながら少なくありません。別の理由で来院された患者さんが、進行した歯周病を指摘されてショックを受けられることもあります。
ですが、これを機にお口の健康を見直すことは、ご自身の未来を守るための素晴らしい第一歩です。
健康のきっかけの一つとして、健やかに年齢を重ね、脳の老化も緩やかにする健康管理のためにも、積極的に歯科医院での歯周病治療や予防を受けられることをお勧めしたいと思います。
三重県津市でお口のお悩み・入れ歯相談なら田中歯科
「お口の健康は、心と体の調律へとつながる。」と田中歯科は考えております。皆さまの健康を根本から支える歯科医療を提供し、お口の健康を整えることが、心の調律にもつながる。
このように「病は気からを科学する」それが私たちのミッションです。

医院名
田中歯科
院長
田中伸子
所属学会・資格情報
・日本抗加齢医学会(JAAM) 専門医
・日本アンチエイジング歯科学会(JSDA) 認定医
・JSDA ペリオフードコーディネーター
・JSDA サプリメントアドバイザー
・JSDA ビューティーアドバイザー
・日本歯周病学会 正会員
住所
三重県津市大門15-16
アクセス
バス:津駅前より京口立町で下車し徒歩7分 お車:津駅より車で約5分(専用駐車場あり)
ご予約はこちら
059-228-6444