私に合うのは?歯科医師が教える歯磨き剤の選び方


歯磨き剤は何を重視して選んでいますか?

ドラッグストアなどで商品を選ぶとき、多くの方が成分や価格、期待できる効果を比較して、自分に合ったものを探しているのではないでしょうか。例えばスキンケア用品であれば、保湿効果や使用感、香りを吟味して選ぶように、歯磨き剤も目的を持って選ぶことが大切です。

歯磨き剤も同じように、たくさんの効能が店内のポップにうたわれていたり、パッケージに書いてあります。今回は、皆さんの歯磨き剤に求める効果と、それぞれの効果に対する有効成分を説明してまいります。

歯磨き剤の選択基準は6つ

歯磨き剤に期待される効果・目的は、主に次の6つに分けられます。

1.虫歯予防効果

2.歯周病予防、緩和効果

3.口臭防止

4.歯の色を白く保つ

5.リフレッシュ、リラックス効果

6.歯の知覚過敏改善

今回はこの中でも、特にご相談の多い「歯科の二大疾患」である虫歯予防効果と歯周病予防、緩和効果について詳しくご紹介します。

虫歯予防効果

虫歯予防といえば、最も代表的な有効成分が「フッ素」です。現在市販されている歯磨き剤の約9割に配合されており、その濃度が高いほど虫歯予防の効果も高まることが分かっています。

フッ素には、主に3つの働きがあります。

・歯の表面を強くする: 歯の表面にあるエナメル質を強化します。

・歯の修復を助ける: 食事などで溶け出した歯の成分を元に戻す「再石灰化」を促進し、ごく初期の虫歯を修復します。

・虫歯菌の働きを抑える: 虫歯菌が酸を作り出すのを抑制します。

【フッ素選びのポイント】

歯磨き剤の成分表示に「フッ化ナトリウム(NaF)」または「モノフルオロリン酸ナトリウム」と記載されているものを選びましょう。これらは効果が実証されており、信頼性が高いフッ素です。

【年齢に合わせたフッ素濃度を選びましょう】

フッ素は濃度が高いほど効果的ですが、年齢によって推奨される濃度や使用量が異なります。厚生労働省は、3歳から5歳のお子様には500ppmのフッ素濃度を推奨しています。1500ppmという高濃度の歯磨き剤は、虫歯リスクが高い方には非常に有効ですが、6歳未満のお子様への使用は認められていません。

【フッ素以外の有効成分】

歯を強くする成分として「薬用ハイドロキシアパタイト」や、加齢により歯茎が下がって露出した歯根面の虫歯を予防する「ピロリドンカルボン酸ナトリウム(PCA)」なども有効です。

歯周病の予防や症状緩和に効果のある歯磨き剤

歯周病対策の歯磨き剤は、主に「①原因菌を殺菌する」「②炎症を抑える」「③歯茎を強くする」という3つの働きを持つ有効成分が配合されています。

歯周病に効く3つの有効成分

① 原因菌に直接アプローチする【殺菌・抗菌成分】

歯周病菌を殺菌し、活動を抑えることで、根本的な原因に働きかけます。

・塩化セチルピリジニウム(CPC): お口の中に浮遊している細菌を殺菌します。

・イソプロピルメチルフェノール(IPMP): 歯の表面に付着したネバネバの塊(バイオフィルム)の内部に浸透して、隠れた菌まで殺菌します。

② 歯茎の腫れや赤みを抑える【抗炎症成分】

炎症を鎮めることで、歯茎の腫れや出血といった不快な症状を和らげます。

・トラネキサム酸

・βグリチルレチン酸

③ 弱った歯茎を元気にする【歯茎活性化成分】

血行を促進したり、細胞の修復を助けたりして、歯茎そのものを強く健康な状態に導きます。

・ビタミンE(酢酸トコフェロール)

・アラントイン

お悩みの症状に合わせて成分を選びましょう

たくさんの成分があって迷うときは、ご自身の症状に合ったものを選ぶのがおすすめです。

【歯茎の腫れや赤みが気になるとき】

→ 抗炎症成分の「トラネキサム酸」などが配合されたものが効果的です。炎症を直接抑え、症状を和らげます。

【歯みがき中に出血しやすいとき】

→ 歯茎活性化成分の「ビタミンE」などが配合されたものを選びましょう。血行を促進し、傷ついた歯茎の修復を助けて強くします。

「スッキリする」「汚れがよく落ちそう」というイメージのある顆粒(スクラブ)入りの歯磨き剤ですが、歯周病が気になる方には注意が必要です。

この顆粒が歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)に入り込んで残り、かえって炎症を悪化させてしまう可能性があるためです。歯周病予防を考えるなら、「研磨剤無配合」や「低研磨」と表示された製品を選ぶとより安心です。

<代表的な顆粒・研磨剤成分>

炭酸カルシウム、マイクロビーズ、無水ケイ酸

三重県津市でお口のお悩み・入れ歯相談なら田中歯科

「お口の健康は、心と体の調律へとつながる。」と田中歯科は考えております。皆さまの健康を根本から支える歯科医療を提供し、お口の健康を整えることが、心の調律にもつながる。
このように「病は気からを科学する」それが私たちのミッションです。


医院名

田中歯科

院長

田中伸子

所属学会・資格情報

・日本抗加齢医学会(JAAM) 専門医 
・日本アンチエイジング歯科学会(JSDA) 認定医
・JSDA ペリオフードコーディネーター
・JSDA サプリメントアドバイザー
・JSDA ビューティーアドバイザー
・日本歯周病学会 正会員

住所

三重県津市大門15-16

アクセス

バス:津駅前より京口立町で下車し徒歩7分 お車:津駅より車で約5分(専用駐車場あり)

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