体の"サビ"、実はお口が原因かも?酸化ストレスと口腔環境の深い関係

近年、災害時における口腔ケアの重要性がテレビなどでも報じられるようになりました。
水が不足する状況でも、唾液の分泌を促すマッサージなどで口の中を清潔に保つ方法が紹介されています。これは特別な時だけでなく、私たちの普段の生活や全身の健康、そしてアンチエイジングに深く関わる、とても大切な話です。
今回は体の老化の大きな原因である「酸化ストレス」と、私たちの「お口の環境」との驚くべき関係について、そのメカニズムを詳しく解説します。
体の老化を進める「酸化ストレス」とは?
私たちの体が老化する原因は、大きく分けて「遺伝」「ホルモンの変化」そして「細胞の酸化」の3つがあると言われています。
特に注目したいのが「細胞の酸化」です。リンゴを切って置いておくと茶色く変色するように、私たちの細胞も日々「酸化」しています。この、細胞がサビついてしまう現象こそが「酸化ストレス」の正体です。
そして、この酸化ストレスを引き起こす主な原因物質が「活性酸素」なのです。

活性酸素の「二つの顔」
「活性酸素」と聞くと、体に悪いイメージがあるかもしれません。
しかし本来はウイルスや細菌が体内に侵入した際に、白血球(特に好中球)が作り出す、体を守るための強力な武器です。つまり、体を守ってくれるヒーローとしての役割を持っています。
ところが、この戦いが長引いて慢性的な炎症が続くと、活性酸素が過剰に発生してしまいます。するとヒーローだったはずの活性酸素は、敵だけでなく自分自身の正常な細胞まで傷つける悪役に変わってしまうのです。この「暴走」が細胞をサビつかせ、老化やさまざまな病気を引き起こす原因となります。

私たちの体に備わる、強力な「サビ止め」パワー!
幸いなことに私たちの体には、このやっかいな活性酸素を無害化するための素晴らしい「抗酸化システム」が元々備わっています。体内で作られる以下の3つの抗酸化酵素が、その中心的な役割を担っています。
・スーパーオキシドジスムターゼ (SOD)
・カタラーゼ (CAT)
・グルタチオンペルオキシダーゼ (GPX)
さらに、食事から抗酸化物質(ビタミンC・E、ポリフェノールなど)を摂ることで、このサビ止めパワーを強化できます。健康な体とは、この「サビ(活性酸素)」と「サビ止め(抗酸化システム)」のバランスが絶妙に保たれている状態なのです。

要注意! お口の中は「酸化ストレス」の発生源になりやすい
では、なぜお口の環境がこれほど重要なのでしょうか。
お口は、栄養を取り込む「体の最初の門」であり、ウイルスや細菌といった外敵の侵入を最初に防ぐ「関門」でもあります。そのため、体内でも特に免疫細胞(好中球)の活動が活発な場所です。
もしここに歯周病があるとどうなるでしょう?
歯周ポケットの中では、常に細菌との戦いが繰り広げられ、慢性的な炎症が続くことになります。これは、活性酸素が絶えず大量に発生し続けることを意味します。
歯周病が進行した部分の炎症の総面積は、広げると手のひら一枚分にもなると言われています。もし胃の中に手のひらサイズの炎症があれば、誰もがすぐに治そうとしますよね。しかし、お口の中だとつい放置されがちです。この「お口の中の火事」こそが、細胞の酸化と老化をどんどん加速させてしまうのです。
救世主は「唾液」! 今日からできるセルフケア
ただ実は私たちの唾液の中には、活性酸素と戦う「抗酸化タンパク」という頼もしい成分が含まれていることがわかってきました。つまり唾液をたくさん出すこと自体が、お口の酸化ストレスを減らす有効なケアになるのです。
最近では唾液の量と質から体の抗酸化力をチェックできる「唾液検査キット」の開発も進んでいます。
災害時にも役立つ!かんたん口腔ケア
唾液の流れを良くするために、今日からできる簡単なセルフケアをご紹介します。リラックスして、朝起きた時や食事の前、話す前などに行うのがおすすめです。
<口の体操>
上の歯が見えるくらい口角を上げ、口の端から舌を出します。
そのまま、舌をゆっくり左右に3往復させましょう。これを2回繰り返します。
目線を上に向け、口から大きく息を吐きながら舌を真下に思い切り伸ばします。鼻から息を吸いながら舌を戻す、という動きを5回繰り返します。

<唾液腺マッサージ>
耳下腺(じかせん)への刺激: ほおに指を当て、上の奥歯あたりを、後ろから前へ円を描くように10回ほど優しくマッサージします。
顎下腺(がっかせん)への刺激: 両手の親指をそろえ、あごの真下の柔らかい部分を、舌を押し上げるようにグッと10回押します。
舌下腺(ぜっかせん)への刺激: あごの骨の内側の柔らかい部分に親指を当て、耳の下からあごの先までを数カ所に分け、それぞれ5回ずつ押します。

いかがでしたか? 歯周病を改善し、失った歯はきちんと治療する。そしてよく噛んで唾液をたくさん出す。このシンプルなお口のケアこそが、体全体の酸化ストレスを減らし、細胞の老化を防いで、健康寿命を延ばすための確実な一歩となるのです。
三重県津市でお口のお悩み・入れ歯相談なら田中歯科
「お口の健康は、心と体の調律へとつながる。」と田中歯科は考えております。皆さまの健康を根本から支える歯科医療を提供し、お口の健康を整えることが、心の調律にもつながる。
このように「病は気からを科学する」それが私たちのミッションです。

医院名
田中歯科
院長
田中伸子
所属学会・資格情報
・日本抗加齢医学会(JAAM) 専門医
・日本アンチエイジング歯科学会(JSDA) 認定医
・JSDA ペリオフードコーディネーター
・JSDA サプリメントアドバイザー
・JSDA ビューティーアドバイザー
・日本歯周病学会 正会員
住所
三重県津市大門15-16
アクセス
バス:津駅前より京口立町で下車し徒歩7分 お車:津駅より車で約5分(専用駐車場あり)
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